液状フッ素エラストマー
SHIN-ETSU SIFEL®
フッ素化ポリエーテル骨格とシリコーン架橋反応の複合技術が、極めて優れた特性を持つ全く新しいフッ素エラストマーを生み出しました。液状射出成形(LIM)用や接着・コーティング用、ポッティングゲル用など、用途に応じて最適な製品をラインアップしています。

構造
フッ素化ポリエーテル骨格とシリコーン架橋反応の複合技術が、極めて優れた特性を持つ
全く新しいフッ素エラストマーSHIN-ETSU SIFEL®FFKOを生み出しました。
接着・コーティング用
SIFEL2000シリーズ
SIFEL2000シリーズは、1成分型の自己接着性を有する液状フッ素エラストマーです。金属・樹脂などの基材に塗布して加熱することにより、耐溶剤性、耐油性、耐薬品性、耐熱性に優れ、しかも非常に優れた低温性を兼ね備えたゴム状の硬化物が得られます。
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液状射出成形(LIM)用
SIFEL3000シリーズ
SIFEL3000シリーズは、射出成形(Liquid Injection Molding System)用の材料です。生産効率のよいLIM成形機での成形により、耐溶剤性、耐油性、耐薬品性、耐熱性に優れ、しかも非常に優れた低温性を兼ね備えたフッ素ゴム成形品が得られます。
また一液型はコンプレッションで使用できます。
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ポッティングゲル用
SIFEL8000シリーズ
SIFEL8000シリーズは、ポッティング用フッ素ゲルです。SIFEL8070A/BおよびSIFEL8370A/BはA液とB液を等量混合し、120ºC/1時間加熱することにより、耐溶剤性、耐薬品性に優れたゲル状の硬化物が得られます。SIFEL8470は1液加熱硬化タイプ。SIFEL8570A/Bは2液室温硬化タイプです。
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What is SHIN-ETSU SIFEL?
従来のフッ素エストラマーに追加された新しい特徴
SHIN-ETSU SIFEL® |
フッ素ゴム(FKM) | フロロシリコーンゴム | シリコーンゴム | エポキシ樹脂 | |
---|---|---|---|---|---|
低温性(-50℃) | ○ | × | ○ | ○ | - |
耐熱性 | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
耐極性 溶剤性 |
○ | × | × | △ | △ |
耐ATF性 | ○ | ○ | △ | × | △ |
耐アミン性 | ○ | × | × | △ | ○ |
耐薬品性 | ○ | ○ | △ | × | ○ |
○:最適 △:適 ×:不可
耐油性、耐薬品性、耐溶剤性に優れた-50ºC ~ 200ºC領域で使用可能な唯一のエラストマーです。
耐アミン性
ブチルアミン浸漬後

SIFELアプリケーション
成形用
Oリング、パッキン、ガスケット、ダイヤフラム、バルブ、シール
- 輸送機
- 燃料装置(噴射装置/ポンプ/タンク/配管他)
- 吸排気装置
- 動力伝達装置(自動変速機他)
- 電子部品・電気電子機器
- 半導体・液晶製造装置
- 石油化学プラント・石油掘削機器
- 事務機
- 燃料電池
接着・コーティング・ポッティング
- 自動車用電装部品
- 吸排気装置
- 燃料装置(噴射装置/ポンプ/タンク)
- 制御回路(エンジン/自動変速機他)
- アクチュエータ、電動モータ、センサ
- 電子部品・電子機器回路・プリント基板
- 半導体・液晶製造装置
- プリンタのヘッド・タンク
- 化学反応装置
- 高周波半導体デバイス
- 燃料電池
取扱い上のご注意
■不純物混入の防止について
- SIFELと接触する器具、装置類は、すべて清浄な状態でお使いください。
ゴミ、汚れ、水分、油分はきれいに取り除いてください。 - 本Webサイト記載のSIFELは、イオウ、リン、窒素の化合物や、有機金属塩など、特定の化学物質が混入または接触すると、硬化不良を起こすことがあります。できるだけそのような状況を避けてご使用ください
■硬化不良について
硬化不良を引き起こす成分例
商品形態 | 影響を及ぼす化合物 |
---|---|
ゴム製品(手袋 等) | イオウ加硫剤、老化防止剤 等 |
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂 | リン系、アミン系、イソシアナート系硬化剤 |
シリコーンRTVゴム(縮合型) | スズ触媒 |
軟質塩ビ | 可塑剤、安定剤 |
エンプラ | 難燃剤、耐熱向上剤、紫外線吸収剤 |
ハンダフラックス | 凝集防止剤 |
硬化不良を低減するために
- 塗布表面の触媒毒成分を除去:
エタノール、IPA、ヘキサン、トルエンなどの溶媒を使用し、清掃を行ってください。 - 材料の混合には金属もしくはプラスチック製のヘラを使用ください。 ゴムや木のヘラは硬化阻害を起こさないことを確認して使用ください。
- 手袋を使用する場合はゴム製ではなくポリエチレン製のものを使用ください。
- 使用する機器、器具(特にパッキンなどのシール材)が硬化阻害を起こさないことを予め確認してください。
- 硬化阻害を持つ成分(例:ウレタン、エポキシ)を使用したラインは充分に清掃を行ってから使用ください。
- 未硬化状態での(硬化不良成分を持つ)基材との接触時間を短くしてください。
- 硬化温度を上げて(速く硬化させて)ください。
■保管について
- 容器をきちんと閉め、冷暗所に保管してください。熱、直射日光、湿気、化学物質との接触などが品質の低下を引き起こすことがあります。
- SIFEL2000シリーズ等の1成分型は、10ºC以下の冷蔵庫に保管してください。
■安全衛生について
- 高温下では、有害な分解ガスを発生する恐れがあります。
- 高温下でご使用の際には、換気の良い所でご使用ください。
- 本製品の付着したタバコを吸わないでください。
- 酸、アルカリ、酸化剤と接触させないでください。
- 保護手袋・保護眼鏡を着用して、取り扱ってください。
- 誤って飲み込んだりしないでください。
- 容器は密閉して、子供の手の届かない所に保管ください。
- 詳しくは、製品安全データシート(MSDS)をご参照ください。
■その他について
- 記載のデータは、規格値ではありません。また、記載の内容は、性能向上、仕様変更などのため、断りなく変更することがあります。
- ご使用に際しては、必ず貴社にて事前テストを行い、使用目的に適合 するかどうかをご確認ください。なお、ここで紹介する用途はいかなる 特許に対しても抵触しないことを保証するものではありません。
- SHIN-ETSU SIFELは、一般工業向けに開発されたものです。医療用、食品用、その他の特殊な用途へのご使用に際しては、貴社 にて 事前にテストを行い、当該用途に使用することの安全性をご確認のうえご使用ください。なお、インプラント製品には絶対に使用しないでください。
- このカタログに記載されているSHIN-ETSU SIFELの輸出入に関する 法的責任は全てお客様にあります。各国の輸出入に関する規定を事前に調査されることをお勧めいたします。
- 本ホームページに記載されている内容を転載されるときは、当社新規製品事業部までご連絡ください。(03-3246-5345)
FAQ
- どこが新しいのですか?
- SIFELは従来のフッ素ゴムと違って液状で加熱するとゴム弾性体になります。液状であるために従来のゴム成形品用途以外にも、接着・コーティング・ポッティング用にも使用できます。性能面でも従来のものより耐薬品性、耐寒性にも優れています。
- 硬化条件はどのようですか?
- 加熱温度は150ºCです。硬化時間は製品により異なります。例えばLIMS成形用の場合は1分程度、接着・コーティング・ポッティング用の場合は、1時間が標準です。
- LIMSとは何ですか?
- Liquid Injection Molding Systemの略です。液状材料と、これを精密・安定的に射出する成形機とを組み合わせることで加工するシステムです。SIFELが液状だからこそ実現するのです。
- 接着はできますか?
- SIFELには自己接着性を持ったSIFEL2000シリーズがあり、金属・樹脂と幅広く接着することができます。またSIFEL専用のプライマーも用意しています。
- 溶剤で希釈されているのですか?
- SIFELは無溶剤で液状です。低粘度からペースト状まで幅広い粘度の製品を備えています。また専用の希釈溶剤も用意しており、粘度の調整も自由にできます。
- 耐熱性はどれくらいですか?
- SIFELの耐熱性は、180ºC~200ºCの長時間試験でも大きくゴム強度は低下しません。
- 耐寒性はどれくらいですか?
- SIFELは-50ºCでもゴムの弾性を失いません。通常のフッ素ゴムは-20ºCで弾性を失います。
- どのような用途に使用されているのですか?
- SIFELは耐油・耐薬品性、耐寒性を必要とする自動車業界で多く使用されています。例えば接着タイプやポッティングゲルは部品の封止やシール、成形用はOリング、ダイヤフラムとして使用されています。
- 電気特性はどうですか?
- 体積抵抗率はおよそ103GΩ・m、絶縁破壊強度はおよそ30KV/mmとほぼシリコーンゴムと同じです。特にSIFELは高周波帯(MHz帯~GHz帯にかけて)の誘電率が2.2と低いのが特徴です。
- 熱伝導率はどれくらいですか?
- SIFELの熱伝導率はおよそ0.1W/m・Kです。
- 透湿性はどれくらいですか?
- JISのカップ法で測定すると(40ºC90%RH厚み1mm)、透湿度は5g/m2・24hrでシリコーンゴムのおよそ1/20程度です。
- イオン性不純物はどれくらいですか?
- Na+,K+,NH4+,F-,Cl-は、各々1ppm未満です。
- 耐オゾン性はありますか?
- オゾン濃度100ppm,40ºCで確認したところ、外観・物性ともに変化はありません。
- 硬化時の収縮率はどれくらいですか?
- 100~150ºCで2~3%です。
- 反応メカニズムはどうなっているのですか?
- 白金化合物を触媒とした付加反応です。反応による副生成物がないのが特徴です。
- 取り扱う上での注意事項は?
- SIFELは付加反応という硬化機構をとっており、イオウ、アミン化合物、リン、有機金属塩、窒素化合物などの特定の化学物質が混入または接触すると、硬化不良を起こすことがあります。出来るだけこのような状況を避けてください。
- 保管はどうすればよいですか?
- SIFEL2000シリーズは冷蔵(10ºC以下)、その他のタイプは冷暗所(30ºC以下)の雰囲気で密閉して保管してください。